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メディア掲載記事(FM軽井沢)-グレース・ケリー結婚にまつわるだれも書かない秘話

こちらはFM軽井沢が発行している季刊誌に掲載された記事に手を加えたものです。

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 女性が女性らしく優雅でいられた古き良き50年代。
 それは、白いキッドの手袋と帽子が、淑女の外出時の必需品だった時代です。
 当時、ハリウッド女優たちの中でもひと際、硬質の美貌とにじみ出る気品で異彩を放っていたのがグレース・ケリーです。
 
 1955年には映画「喝采」でアカデミー主演女優賞を受賞、女優としての頂点を極めた翌年にモナコのレーニエ公と結婚。ヨーロッパの王室に嫁いだ現代のシンデレラとして世界中の注目を浴びました。
 


1929年、フィラデルフィアに、4人兄弟の二女として生を受けたグレース。父親は、ボートで2度も金メダルに輝いたオリンピックの選手でした。地元の名士でもあり、建築の事業でミリオネアになり、母は、フィラデルフィア大学女性初の体育学部長を務めました。 
 
 大変に裕福な家で何不自由なく育ったグレースですが、アイルランド系カソリックだったため、だれもが憧れる、フィラデルフィア上流階級(プロテスタント系)の社交界が主宰するデビュタント・パーティには招待されませんでした。後に親しい友人に、出席できなかったことがいかに悲しかったかをこっそり打ち明けたと言われています。
 

 高校卒業後、女優を志し、ニューヨークのアカデミー・オブ・ドラマティックアートに入学。演技を学びながら、英語を英国式の発音に矯正します。すぐにブロードウェイでデビュー、テレビ女優として人気を博し、映画にも出演するようになり、またたく間に有名になります。


 ニューヨークでは、64丁目とレキシントン街の、上流階級の若い女子専用、男子禁制のバルビゾン・ホテルを住まいにします。
 
 55年、女優として頂点を極めた頃、カンヌ映画祭に出席するために渡仏し、そこでモナコ大公のレーニエと運命の出会をします。


モナコは世界で二番目に小さい国ですが、グリマルディ王家は12世紀イタリアの聖職者に遡る由緒あるカソリックの家系です。一時はコートダジュール地方を中心に、現在のイタリアとフランスにまたがる領地を所有し栄華を誇ったこともありました。


が、第二次大戦後、財政状態は極端に悪化してしまいます。50年代には、とうとうカジノの利権を、ジャクリーン・ケネディの二度目の夫となったギリシャの海運王オナシスに握られ、国はまさに破産寸前といった深刻な状態に追い込まれます。



 グレースがレーニエ公と知り合ったのは、まさにそんなごたごたの最中だったのです。 
大株主であったオナシスは、モナコ再建のために、公国を中流階級向けの観光地として再開発することを提案します。しかもレーニエには客寄せに、マリリン・モンローと結婚することまでアドバイスしたと言います。(これは2年前取材でお会いしたオナシスの知人で、ヨーロッパ王室に詳しいタキ氏からの情報です)


 当時独身だったレーニエにとって、結婚は実は避けて通れない深刻な課題でした。
と、いうのは、遡ること1918年に定められたモナコ-フランス協定では、レーニエ公が世継ぎをもたない場合は、モナコはフランスに返還されると定めているからです。つまり、レーニエは国家存続のため相当に苦しい切羽詰まった状況におかれていたわけです。
 

 再建のため、マリリン・モンローはともかく、著名な女優と結婚するのはいいアイディアだとレーニエも思ったのでしょうか。結局、オナシスの提案にヒントを得て、モンローではないにしても、同じアメリカ女優で、気品高いグレース・ケリーを選び、王妃に迎えることになりました。
 こうして、20世紀最高のロマンスを手に入れ、一方では国の生き残りを賭けることになりました。しかしレーニエの目指したのは、中流向けの観光地ではなく、庶民の手が届かない上流が安全に遊べる国。
 一発逆転を目指した背水の陣は奇跡的な成功を遂げ、加えて神業のような離れ業でオナシスの手を引かせることにも成功します。


 グレースと出会ったレーニエ公は間髪いれずすぐに渡米。フィラデルフィアのケリー家を訪問し、3日後にはプロポーズ。ケリー家からは、グレースの持参金として2百万ドルを受け取る約束も取り付けたと言われています。

 グレースはレーニエにひと目惚れだったと周囲に語っていますが、レーニエは、実は算盤をはじいての結婚だったと言われるのは上記の理由によるのです。
 

 結婚式は、世界中が注目する現代のシンデレラ物語に相応しいものでした。
ウエディングドレスは、グレースが結婚前に契約していたMGMの衣装デザイナー、へレン・ローズが担当し、MGMからプレゼントされます。アンティークのレースをふんだんに使用した芸術品の名に相応しいドレスで、何十人のもお針子さんたちが数カ月かけて仕上げたものです。
 

 アメリカからモナコに嫁ぐグレースは船旅を選びます。ゆっくりと時間をかけて、女優から王妃へ移行する心の準備期間がほしかったのかもしれません。持参したトランクは88個以上だったそう。
 
 二日間かけて開催された結婚式には、ハリウッド関係者始め6百人が招待された盛大なものでした。
 
by rumicommon | 2011-03-06 09:12 | メディア掲載記事 | Comments(1)
Commented by はるまる at 2020-09-07 15:28 x
YouTuberのCristal Spain さんがまめに調べていたのを確認していて、ここに行き着きました。
レーニエ大公には多くの女性がいて、グレースケリーも苦しかったでしょうね。
マリリンモンローでなくグレースケリーを選んだのは、大成功でしたね。
クリスタルさん曰く、とにかくなんでも高いです。ニューヨークの5番街と変わりません。
と話してらっしゃいましたが、そんな大金持ちが集まる国でしたら、値段なんて関係ありませんね。
タックスヘブンではなかったと言ってました。
観光客には税金がかかるのかしら⁉️


気がつけば還暦過ぎて早数年。N Y生活も33年。いろいろあったけど毎日必ず楽しいこと、嬉しいことは見つけられる。


by コモンるみ

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