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U2のBONOに学ぶことーシブサワレターより

毎月メールで送信していただいている、渋澤健さんからのレターをご紹介します。

             ******************************

こんにちは。渋澤です。

米国では、民主党大統領候補がオバマ氏に決まったようですが、実はこれからが本番なのですね。

受けがよいだけで、政策の具体さや経験が欠けるという批判を背負う同氏ですが、
personality(性格)とcharacter(性質)の違いは何でしょう。

大統領候補として、これが今後問われ、11月の結末を定めることかもしれません。


  □   ■   □     □   ■   □     □   ■   □ 

謹啓 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

独裁者は現状の秩序に背く民衆の行為をRebellion【反乱】と呼びますが、
民衆はRevolution【革命】だと叫ぶでしょう。

視点を変えると、同じ事実でも名称が変わるのです。
ノーベル平和賞の候補として3回名前があがったポール・デービット・ヒューソン先生いわく、
Rebellionとは「Doing unexpected things,with unexpected people」想定外の行動を、想定外の人達とやることであると。

無名の学者だと思われるかもしれませんが、このヒューソン先生は、実は「ボノ」という通称で知られている世界的に著名なロック・バンド、U2の歌手です。

私が大学四年のとき、彼らの音楽を初めて聞きましたが、ボノのボーカルとメンバーのギター、ベース、ドラムズの独特な響きが、25年後になっても未だ心に残っています。
当時でも彼らの音楽はまさにRebelliousでありました。

なぜ、自称Rebelが「先生」なのかというと、ボノはアフリカの貧困問題に取り組んでいる活動家であり、5月下旬に開催されたTICAD(アフリカ開発会議)での基調講演のために来日した際に、
同氏の長年の功績を慶應大学が表彰し、名誉博士号を授与しました。
式典の後には、満員になった大学の大ホールで、エチオピアの難民キャンプでの話等、貴重な体験談を学生たちに混じって聞きました。

病に負われ餓死寸前の幼い子に薬を与えましたが、最近ボノの手元に送られてきた写真にはその子が母親となって笑顔で自分の子供と写っていました。

また、息子への愛情と誇りに満ちた父親が、子供がキャンプに残れば命が危ういので「帰るときにどうか一緒に連れて行ってくれ」という願いに応えることができず、その子がその後どうなったか気がかりだと、言葉を詰まらせる場面もありました。

パッションに溢れる素晴らしい話でした。若者たちの心に響き、一生忘れられることのないメッセージが彼らの胸に残されたのはないでしょうか。
そのボノいわく、New Japanの変化の「アタラシイ・カゼガ・フク」と。

前回、2006年のツアーで来日した際に新しい時代の兆しを感じ、特に若い日本人への期待を込めて発した言葉のようです。
I believe in this country

そして世界は貴方たちの活動を必要している。

境界線を感じることなく、同時に母国に誇りを持つ日本を築いてくれと何回も若者たちに訴えました。

その数日後に世界における日本について考える国際円卓会議に参加しましたが、
ここではボノとは異なる印象を持つ外国人が多いと感じました。

海外のメディアなどの一般的イメージは「Nothing is working in Japan」、
つまり、壊れている日本であります。

確かに、ねじれている国会、閉鎖的な会社経営、社会保障など多くの社会問題、
そして悲惨な事件など、枚挙にいとまがありません。

しかし、海外から帰国するとホッとする最近の自分に気づきます。
その理由は、It worksという安心感に包まれるからです。
アメリカのような先進国でもあっても故障や遅れやが目立ち、海外ではしょうがないと思うレベルのサービスや応対は、日本では許せない水準です。

そういう意味では、日本の問題は、ワークしない社会ということではなく、逆に良くワークすることではないでしょうか。

もちろん、色々な問題があることは知っていて、不安がよぎることは間違いありません。
しかし、ほとんどの日本人が大きな不便を感じることなく、基本的に豊かな日常生活を送っています。

もちろん、それは今の状況であります。
問題を放置すれば、いずれ日本社会は「ワーク」しなくなり、私たちの豊かな生活が維持できないことはあきらかです。

数年前までは一人当たり経済生産がトップクラスであった日本ですが、2006年には18位まで急落しています。

しかし、日々の生活の現状がワークすると満足する国民が、自分達の現状と将来への不安を日々に感じなければ、どの国であっても「変化」を起こすことは大変なことです。

また、この状態のことは良く言えば「満足」かもしれませんが、実態は「無関心」に近いのかもしれません。

自分達の身近にいる違う人たち、あるいは遠いところの人たちに関心を抱かない国民が集まる社会の将来は明るいはずがありません


ボノは、自分にとっての最大な「敵」は、自分の無関心であると言っていました。
事なかれ主義の自分を無風地帯の日々から救ってくれたのは「音楽」であると
私たちの「音楽」は何になるのでしょうか。


ボノは、1960年生まれです。また、「チェンジ」という旗を振り、
インターネットを通じで小口の献金という基盤の新たな形で有権者を発掘し、
米国政治の旧来の秩序を覆したオバマ候補は1961年生まれです。
彼らは、団塊の世代・ベビーブーマーという「トレンド・メーカー」世代の後に生を受けて、
「このままではヤバイでしょ」と感じ、行動し始めている「チェンジメーカー」世代の先導者です。

1961年生まれの私にとって大変心強い存在です。

ボノが言うように、想定外のことを起こそうとすると、世論は従来の秩序への反乱として警戒し、考え方に欠陥があると決め付けてしまう場合さえあります。

ただ、先輩世代が築いてくれた「ストック」を食いつぶすようでは、
将来への持続性がないと危機感を感じている世代の一部がリスクを取ることに積極的になることは、
次世代への「キャパシティ・ビルディング」、
つまり、能力生産を築く土台のリターンのためであるということに社会が理解し、
応援してくれることを期待したいです。


 □ ■ 付録: ブログ「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」から ■ □ 
          (http://blog.livedoor.jp/shibusawaken/)


          
 
          「青淵百話」元気振興の急務


       頃日来社会の上下一般に元気が銷沈して、
   諸般の発達すべき事柄が著しく停滞し、来たやうである。

     これは要するに社会が稍々秩序的になつた共に、
   人々が何事にも慎重の態度をとるやうになって来たから、
   其の余弊として斯の如き現象を見るに至ったことであらう。

     其の日其の日を無事に過されへすればそれでよい
     といふ順行のあるのは、国家社会にとつてももっとも
           痛嘆すべき現状ではあるまいか。

      我国の有様は、是迄やり来た仕事を大切に守って、 
          間違いなくやつて出るといふよりも、
            更に大に計画もし、発展もして、
      盛んに世界列強と競争しなければならむのである。

        老人から見てさへも満足の出来ない程に
          現代青年が無気力であるのだから、
          余は反対に老人側から見たる青年が、
        むしろ危険と思はれる位に活動的になることを
              希望して止まぬのである。

    危険と思はれる位と謂うても、余は敢えて乱暴なる行為や、
           投機的事業をやれと進めるものではない。
  堅実なる事業に就て何処までも大胆に、剛健にやれといふのである。
          現代青年が無気力であるのだから、
          余は反対に老人側から見たる青年が、
        むしろ危険と思はれる位に活動的になることを
              希望して止まぬのである
    
      
        危険と思はれる位と謂うても、余は敢えて乱暴なる行為や、
           投機的事業をやれと進めるものではない。
  堅実なる事業に就て何処までも大胆に、剛健にやれといふのである。



この言葉は、栄一が大正時代に残したものだと思います。
当時の若者は、その後の戦争で悲劇を体験し、
結果として、日本の復興に貢献した元気振興の世代として歴史に残りました。
彼らが築いた豊かな日本社会で暮らす現代世代は、彼らから見たら無気力に見えるでしょう。どの時代でも新世代はそう映るものかもしれません。
ただ、悲劇なき、元気振興になるには、今の世代が「危険と思われる位に活動的になる」
、つまりリスクを取ることが急務であるということを示唆しています。
リスクを取る理由はひとつだけ。リターンを得て、豊かな社会を現世代から次世代へとつなげることです。

   謹白
                      平成20年6月6日

                      渋澤 健      
by rumicommon | 2008-06-08 04:20 | 女目線で応援するいい男」


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