オバマ怒り心頭ーAIGボーナス事件に思う

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今、アメリカでは、巨額の負債をかかえて、
もう少しで倒れそうになっている、
かつてはブルーチップの保険会社だったAIGが、
国民の非難を浴びています。

政府からビリオン(兆円)というBail Out(救済)をしてもらっていながら、
社員にボーナスを支給していたということで、
オバマを筆頭に、
世間は怒り心頭しているのです。

ニューヨーク州検事総長のアンドリュー・クオモに至っては、
社員のリストを取り寄せて公開すると鼻息も荒く、

民主党上院議員のクリス・ドットは、
救済を受けた何十社という会社全体が、
ボーナスは受け取るべきではない、
たとえもう手にしていても、
返却すべきだと息巻き、
国民の「魔女狩り」的感情論に油を注いでいる状況です。

あの~、でもですね。
言わせていただけば、
状況がよかったJPモーガンとウェルズファーゴは、
政府のBail Outなんかいらんぜよ、
と、いっているのに、
みんな平等に借りてくれないと困る、という
政府の言い分で、無理やりビリオンというお金を押しつけられたわけです。

それで、ボーナスは支給しちゃいけない、
あーしろ、こうしろと口を出すだなんて・・・
放っておいてくれと言いたくなる気持ちは分かる気がする。


このあたりのことについては、姉妹ブログ

だれも書かない★ニューヨーク1%未満★
に書いていますので、詳細をご存じない方はどちらもどうぞ^^


072.gif
リセッションを煽る英単語

ある30代カップルのアッパーイースト算盤勘定




このことについて書く前に、
わたしたちの身の丈でこの問題を実感していただくために、
まずちょっとこんな例え話をしてみたい。


あなたは高校野球で全国優勝を目指して日夜
一所懸命練習に励んできました。

優勝のあかつきには、
夢にまで見た球団が、あなたを5千万円で雇うと約束してくれたとします。


で、頑張り抜いたエースピッチャーのあなたは、見事優勝をはたしました。

けれど・・・・

結局5千万円の契約金を受け取ったあとに、
球団から「悪かった、あの話はなしにしてほしい。お金も返してほしい」と言われます。


その理由は、あなたの通っている学校の他の生徒が不正を働いたため。


その責任をとって、あなたの学校の優勝は反故にされてしまいます。


3歳にして野球の選手を夢見、
ずっとそれ一筋に来たというのにです。



さて、そんな時あなたはどう思いますか?



数日前のニューヨークタイムズに
元AIG社員がCEOに宛てた
辞任を叩きつけるメールが掲載されました。

New York Times;Dear AIG, I quit!

そして彼のおかれた状況は、まさに上記のたとえそのもの。

その彼は、FX&コモディティ部門のヘッド、
AIGで長年の間、身を削り働き、
今年も、会社が損失を計上している中、
彼の部門は何百億円の黒字を計上します。


けれど・・・・
AIGが政府から救済を受けたという理由で、
彼は、
自分の名前が世間にさらされる(身の危険につながるかもしれない)
可能性が出てきたばかりか、
契約通り受け取ったボーナスは返せと迫られます。


で、この人は、結論としては、
ボーナスは返さず、辞任することにします。


そして税引き後のボーナスは全額!
この金融危機で被害を受けこまっているチャリティ団体に寄付し、
お望みならその証明書を提出すると書いているのです。

072.gif日本語に訳してくださっているサイトをリンクしておきます
金融日記/AIG社員の最後の手紙(翻訳、藤沢数希)


ウォールストリート日記/退職願:AIG CEO殿


↑のお二人に多大な敬意を表します。
ご多忙な中、多くの時間を割いて、ボランティアで情報を提供くださることに、
そして、某新聞社などの「オバマ就任式の演説」の残念な誤訳とは違い、正確で読みやすい訳であることに・・・



これを読みながら
わたしは以下のような感想をもちました。

1)世間の多くは、Bail Outの本当の意味を知らない。政治家やメディアもそれをきちんと説明しないばかりか、感情論をあおり、ますます景気のネガティブなスパイラルを加速させている

そうなんです。政府は気が遠くなるほど0がついたお金を「救済」していますが、それはあげているわけではないのです。

金利5%で融資しているのです

でも多くのアメリカ人たちはそれを知りません。
国税を「与えている」と思っているのです。


もちろん、負債を抱え、政府から巨額の救済をしてもらいながら
ボーナスを出すというのは筋が違うと思います。

ならば、AIGのケースでいえば、
ボーナスが出る前に政府がどうして止められなかったのか。


それはしないで、
彼らの社内での契約ごとも尊重せず、
もう手にしてしまったボーナスを返せだなんて、
こうなってくると、
民主主義とは一体なんだろうということにもなってきます。


2)世論を感情的に刺激することで、AIGの社員たちを窮地に追い詰め、倒産の危機が・・・


つまりこういうことです。

問題の部署にいた幹部は辞めさせられた。
(問題の部署、CDSにいた問題の人たちはすでに儲けるだけ設け、会社はさっさと辞め、責任の所在はなし)

               ↓

会社に利益をもたらした多くの優秀な社員は世間から後ろ指さされ、命の危険まで感じ、会社を辞める。

               ↓

残ったのは士気の落ちた社員だけ。

               ↓

会社が倒産する危険が強くなる・・・・

クオモは60億円分のボーナスを返してもらうことに成功したみたいだけど、
100億円以上利益を上げた優秀な人をはじめ、何人かやめている状況を考えると
あまり賢いやり方だとは思えないんだけど~

               
せっかく巨額の融資をしても、倒産してしまえば、そのお金は本当に返ってこなくなってしまいます。

会社が倒産すれば、政府の打撃は、ボーナスがどうのこうのといっているレベルではなくなってしまいます。
それこそ、せっかくつぎ込んだ国税のビリオンはどうなるの~!!

だからこそ、こんな時ほど、パニック・モードは厳禁。

一旦出してしまったボーナスを返せと、「魔女狩り」を施行しても、
世の中は一層混乱するだけではないでしょうか。


3)救済(政府から融資)を受けた会社すべてがボーナスの支給をやめれば、ニューヨークの空洞化はすぐに始まり、犯罪率は上昇し、70年代のように市が破産するということもなきにしもあらず


姉妹ブログにも詳しく説明しましたが、

ニューヨークでは、たとえ億というボーナスをもらっていても、
日本でなら感じられる富裕層としての実感は感じられません。
それほどに過去20年の間に不動産は暴騰し、生活費がかかるからです。

その上、何十社という大手金融すべてがボーナスなしということになれば、   
基本給だけではとても生活費をまかなえず、
しかもこれまでの貯金や投資もこの金融危機で
大幅な損失をだしている多くの人たちは、
ニューヨーク市にこれ以上とどまることはできなくなるでしょう。


市が空洞化すればどんなことが起こるでしょうか。

そう、最初は小さな波もドミノ式に次々と波及し、最後は怒涛のような津波になって世界中に波及していくでしょう。


それを今、どう食い止めるか、

「魔女狩り」にやっきになっている場合ではない、と思うのはそんな理由からなんです。

まずは、今日からBail Outという紛らわしい言葉を使うのはやめてみてはどうでしょうか。

で、ボーナスは、その分を消費にまわしていただくとして目をつぶり、
もっと前向きに、行きましょう。
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by rumicommon | 2009-03-27 04:38 | NY1%未満の時事 | Comments(0)


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