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マッケーン劣勢はペイリンが原因?

副大統領候補に指名されても、長い間、取材を断り沈黙していたペイリン。
けれど、とうとう逃げ切れず? 受けたのがCBSの女性アンカー、ケイティ・クーリックのインタビュー。

でもでも、これが大失態を演じることになってしまいました。



何度見直しても、セラちゃん、一体何が言いたいのかわかりませ~ん。
それもそのはず、どうやら本人が一番わかってない模様。

ケイティに突っ込まれて、うっと詰まるところなど、かわいそうなぐらい。
インタビューしながら、ケイティの「一体何が言いたいの~」ってな顔に注目!


そして・・・

NYでは大人気のコメディショー、「サタデーナイト・ライブ」では、
ペイリンのそっくりさん、ティナ・フェイ演じるセラの笑える「マネ」が、実は、ペイリンがケイティのインタビューの際、話したそのままを採用していたことを暴いたCNN



ニューヨークに来る際、
別のコメディアン、J・レノにも、ペイリン・ネタで、
「ペイリン、NYのタクシーに乗ってみてびっくり、運転手をオサマ・ビンラデンだと思ったんだよ」みたいなジョークを言われておりました。


副大統領候補同士の討論会の際は、秘かにニューメキシコに缶詰合宿をして、討論の特訓を受けたペイリンだったのですが・・・。


そのペイリンを副大統領候補に指名するという超危ない賭けをしたマッケーン、
長年公僕として国に尽くしてきたことに対しては、
だれもが大きな尊敬の念を感じているはず。

でも、わたしの心配は、最近のマッケーンには健康面での不安を感じること。
もし、大統領に当選したとして、激務の4年間をやりとおすことができるのか。

もし、マッケーンに何かあれば、次なる大統領はペイリンです。
果たして彼女に大統領としての器はあるのか。

それに、マッケーンのぷっつんしちゃう傾向も個人的にはちょっと不安。

「700ビリオンドルの救済策が通らないなら、キャンペーンは一時中止だぁ」
みたいなことを後先考えずに言っちゃったものの、実際否決されちゃって、
共和党の長老たちが肝を冷やす場面があったり、
賭けでペイリンを副大統領に指名したものの、
果たしてそれは良識的な判断だったのか、軽はずみではなかったのか。

軍関係者の間にもマッケーンの激しやすい傾向に眉をひそめる向きもあるそうです。


確かにオバマにも未知数の部分はたくさんあります。
けれど、オバマには海千山千の錚々たる長老たちがアドバイザーとして助けを差し伸べています。
そして、また彼にはそれを聞く耳がある。

テロリスト扱いされても、FOXニュースに執拗な意地悪い扱いをされても、
多くの修羅場を、品格を失わずに乗り越えてきたオバマ。



では、奥さんたちはどうでしょうか・・・・


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シンディのワシントンデビューは30歳の時。
初めて招かれたワシントンの女子ランチでは、マッケーンの前の奥さん、キャロル・マッケーンの名札しかなく、しかも彼女のテーブルは半分以上空席。多くの人が彼女と同席したくなかったのです。

マッケーンが、交通事故で重傷を負った奥さんを捨てて、20歳以上も若くて、しかも富豪の令嬢と結婚したことを、ワシントンは許せなかったのです。

それ以来、シンディはアリゾナに引っ込み、マッケーンはワシントンに単身赴任。

また、税金絡みのスキャンダルに巻き込まれたとき、シンディはその辛さに耐えられず、
処方箋のいる痛み止めを所属していたチャリティ団体から盗んでしまうということもありました。

美しく蝶よ、花よと育てられた繊細なシンディ、逆境に弱いのかもしれません。

一方、ミッシェルは英語でいうならタフクッキー。

おうちでは、夫が自分の靴下を拾わないと怒るし、
ゴミ出しは当然夫の仕事と思っている。

キャンペーン最初のころは、
夫が大統領になるよりも、家庭が、子供の教育が大切、
だから、大統領選に出馬するなら今回限りにしてね! 的なことを口走り、問題になったことも。


彼女なら、ワシントンで少しぐらい意地悪されても、そんなことでしっぽを巻いて逃げる「たま」ではないでしょう^^

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30年前までは、黒人がホワイトハウスに入ることすら難しかったと言います。
オバマが当選すれば、すごいことになりますね^^


最後は、こちらで笑ってください^^。マッケーン! お疲れ様~^^。

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by rumicommon | 2008-10-21 03:24 | NY1%未満の時事

不況に強いファッション会社の成功の秘密

このご時世にあって(デパートが閉店、合併をしているご時世に)、

ファッション業界では稀有な、黒字を出している会社について、

なるほど~と納得すること、感じたことを、ファッション・マーケティングの観点から勝手に分析してみたいと思います。

エストネーション六本木ヒルズ店

六本木ヒルズで働くか、広尾、南麻布、南青山、恵比寿、白金界隈に住むおしゃれなヒルズ族の中には、百万円単位でまとめ買いをする人もいることでも有名なお店。

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六本木ヒルズ店

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銀座店


エストネーションのサクセスの秘密


1)ターゲットは富裕層を狙い、高級感はあっても、一般消費者も入りやすい敷居の低さとフロー

2)センス抜群のバイヤーの目で厳選した多種ブランド&幅広い価格帯の商品が共存する店内



今は昔バブルの時代、あるブランドのオーナーにこんな提案をしました。

・VIPフロアーを作り、お茶などをお出ししてもてなす上顧客だけしか入れない特別な空間を作り差別化する

この提案はその会社では採用され、結構ブランドイメージを上げるのに貢献したのではないかとひそかに思っております。

しかし長引く不況風にさらに追い打ちをかける世界的恐慌の不穏な足音を感じる今、VIPフロアや、高かろう良かろう的な考えは頭打ち。

富裕層ほど、資産に損失を計上している今、教育費やチャリティなどはともかく、
自分へのぜいたく品などへの消費には財布のひもが固くなり、
いかにも敷居の高そうなお店には、これまでのように気軽には入らなくなってきているのではないでしょうか。

ちょっと見るだけのときに、VIPフロアに通されるのではたまりません。

その点、エストネーションは、ブランドごとのカテゴライズもなく、ジル・サンダーのとなりに何気でモスキーノがあり、そのちょっと先に、おしゃれだなぁと思って手に取ってみるとなんと2万円台の新進デザイナーのワンピースがあったりします。


これです!

これなんです!!


そして、誰に対してもウエルカムな雰囲気、啓蒙的だったり売ってあげましょう的な対応でないこと。


気軽に入れるお店の利点は、バーゲン品を買うつもりで何気に入っても、お店の方が感じよくて、つい秋の新作を買ってしまうことだってあること。

安物だけ、高いものだけを価格帯やブランド別にカテゴライズしたりするのではなく、

高いものも安いものもいろいろなブランドをさりげなく取り混ぜるエストネーション・スタイルだと、

値段やブランド名の先入観なく選べるという利点があります。

ブランド別になっていると、高そうなコーナーには最初から寄り付きもしないかもしれませんが、さりげなく取り混ぜてあると、つい手にとったものが高いものだったり、逆に安いものだったり、サプライズがあります。

そして、お値打ちないいものを掘り出せると充実感を味わえ、

つい高いものを手にとってしまっても、その魅力に負け、買ってしまうこともあるかもしれません。

その際、敷居の高いお店の上顧客であれば、安いものを買うとき感じなくてはいけない引け目も、ここではあまり感じる必要がありません。

初めて入った人や高いものには手がでない人も必ず手が届くモノを探せます。

イメージはハイエンドなのに、自分たちにも手が届くと感じられること、

ハイエンドのお店で商品を買えたときに味わえる所属意識はとてもうれしいものです。



これまでは、「ん? ちょっと高く感じるけれど」

というプライシングが却って、そのモノの価値に、より信憑性を添える効果も期待できました。

超高額の美容液、英語教材、レクチャーなどによく見受けられましたね。

しかし、これからは、ハイエンドであっても、

お手頃感、

お値打ち感、

割安感があり、

得した気分になることが重要なのではないでしょうか^^


そうそう、最後に東京の有名アーケードなどを歩いていて感じた、

明らかに販売促進の点で失敗している例をあげておきたいと思います。

店長さま、ご参考になればうれしいです。

・毎日同じ商品が同じところにディスプレーされている

これだと、「あのお店の商品は全然売れてない」と知らしめているようなもの。

だから、販促のプロはこうします。

・毎日朝いちばんに、ショーウィンドウのコーディネートを変える。

・店内に並んでいる商品の位置を毎朝移動して変え、一見昨日とはまったく違う商品が並んでいるような錯覚を与える


・ディスプレーはその日のお天気、気温と相談して決める


雨が降りだしたら傘やレインコートを真っ先に店頭に、

肌寒い日は、やや厚めの衣類を全面に、

2月、8月など季節の変わり目で商品が動きにくいときは、次のシーズンのものをただ漫然とディスプレーしているのではなく、外から目につくところに、その時期のセール品も魅力的に展示する。

・目も合わせず「いらっしゃいませ~」と上がり調子の声掛けはしない。

だっていらしてくださりうれしいです、という感じを全然受けないから。

それより目が合うまではそっとしておき、目があったとき、ニコっと笑い
「何かお手伝いできることがあればおっしゃってください」というだけで十分。

小さな工夫でモノは売れるはず。

これからは、アイディア勝負ですね^^

ご成功をお祈りしています!
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by rumicommon | 2008-10-17 22:38 | NY1%未満の時事

ファニーメイとフレディマックが世界金融市場を揺るがす

ファニーメイとフレディマックが世界金融市場を覆すほどの混乱をきたしているニュースはご存じでしょうか。

ファニーメイが1.2トリリオンドルの住宅担保証券を抱えて、株価が急下降し底値も底値、
かなり危機的な状況にあるというニュースです。

1.2トリリオンドルって言ってもぴんとこないですよね。
わたしもつい円に換算してみて卒倒しそうになりました。

1ドル100円で換算して120兆円ですよ~っ! 


ファニーメイ&フレディマックと言っても、大方の方はこれまで聞いたこともないのではないでしょうか。

けれど、このファニーとフレディの行方次第では、ただでさえサブプライムローンの影響で混乱を来している世界経済が、1929年以来の恐慌に突入するかもしれない危険性を孕んでおり、
金融の世界でもボーダーが曖昧になってしまった今、日本すら激しく足元を救われる可能性があるといえば、少しはご興味をもっていただけるでしょうか。

ファニーとフレディとは一体何ぞや。
一体どういうふうにして、負債がそんな天文学的な数字になってしまったのか。

ちなみに野村證券のFannie Maeのところにはこんな分かりやすい簡単な説明があります。

といってもアメリカ以外でフツーに暮らしていたら、一体なんのことなのかまだ分かりませんよね。

わたしも勉強し、やっとわかってまいりました。

消費者に住宅ローンを組んであげる際、各銀行が一番恐れるのは、月々の返済ができなくなり焦げ付いちゃう人の存在です。

几帳面な日本人とは違ってそう言う人多いのよ~。アメリカには。

サブプライムローンの説明のエントリーでも申し上げたように、
それでも不動産の景気がよかったときは、過去のクレジットがかなり悪く、
リスクの高い人にも「サブプライムローン」という形で、
それはもう信じられないぐらいバンバン貸しちゃってたわけです。

サブプライムローンとは何なのか ←Clickしてみてね^^

数年前は不動産価格の上昇を査定し、その分かさ上げした金額を新たにローンで借したげますよ~、という勧誘もガンガン、バンバンありました。

数年はすごく低い利率で借りたと思っていたら、数年たつとドカーンと利率が上がり、しかも何年経っても基本的には金利ばかりを返済し元本はちっとも減らないという商品に騙されてた人もたくさん。

多くの人たちが、新たにエクイティを引き出せるという一瞬の甘い汁を吸いたくて、あまり住宅ローンの複雑な仕組みを知らないままリファイナンスする人がマンハッタンでもたくさんいたのです。

けれど、不動産価格が下降線をたどった途端、美味しいシナリオは狂い始めたわけです。

ふと気がついたらフローティングの利率は急にジャンプし、月々の支払いが滞る人が急増し、Foreclosureが増え、貸した銀行はピンチに陥ります。

もちろん、銀行だってそのリスクは承知していて、
貸したローンを100、1000単位で束にして債権化し、
それをファニーとフレディという一見公庫っぽい機関に売り出していました。
たくさんのローンをまとめ債権として売りエクイティに換えれば、銀行としてはたとえば100のローンのうち10焦げ付いたとしてもリスクを分散できるわけです。

で、ファニーやフレディはまたそのまとまったローンの束を
世界中の投資家に住宅担保証券として売りに出すわけです。
つまり銀行がわれわれのお金を貯金という形で預かり、
それをまとめて企業などに貸すのと同じことです。

ここで特筆すべきことは、投資家にとってファニーやフレディに魅力があったのは、
どちらも米国政府がいざというときは保証してあげるよ、というお墨付きがあったことなんです。
つまり、半官半民みたいなイメージがあったわけです。

だから、いうなれば、サブプライム商品のようにハイリスクなものとは違い、ファニーもフレディも国債並みの安定債権としてリスクを求めたくない人たちに好まれる株だったのです!


しかも、サブプライムフリー、ジャンボという高額のローンもなしという慎重派だったわけですよ、ファニーとフレディは。

その上、お上から保証してもらえば、そりゃ安心しちゃって「まだまだいける」という気分になるものです。
こうして、ファニーやフレディはガンガンモーゲージ(住宅ローン)を各銀行から買い取り、投資家たちも安心してガンガン買い受けていたわけです。

しかしです!

ここが肝心です!

実は、政府が保証してくれるよ、というのは実はとても曖昧なステートメントで、実際、米国政府は、ファニーもフレディも一株も所有してはいません。

今回いきなり危機的な状況になってしまったのは、銀行から買い取ったローンの巨額な束を抱え込んだまま、サブプライムなどの影響でいきなり投資家たちが及び腰になり信用が揺らいでしまったから。

しかも住宅ローンもこれまでにないスピードで焦げ付き始めたわけです。

銀行は焦げ付き始めた多くのローンを抱え、ファニーたちもこれ以上は引き取ってくれないということで、このままでは今後、かなり信用のある人でも住宅ローンが下りなくなってしまう可能性が出てきたわけです。

また、ファニーとフレディは信用をすっかりなくし株価は急下降し破たん寸前。

ご存じ、サブプライムの影響でベアスターンが、まるで魔法のように一夜にして破たんしたのはつい3月のことです。

ベアの時は、JPモーガンという白馬に乗った騎士が現れて、連邦準備銀行のバックアップもいただいて吸収合併することでなんとか事態は切り抜けました。


しかし、ファニーやフレディ級になればもう救済できるのは「政府」しかないわけです。


今、リーマン、メリル、シティもかなり危ないと言われており、勝ち組と言われているゴールドマンやJPモーガンの株価さえ急下降しています。

今、政府がファニー&フレディの株を買い取るか、売れ残りの債券を買い取るなどして救済の手を差し伸べなければ、1929年以来の世界大恐慌もありか、と言われています。

サブプライムの時もそうでしたが、多くの人はなかなか危機感を感じ取ることはできなかったようです。

不動産を扱っているプロたちでさえ、なんだかNYは関係ないわってな感じでした。

が、どうやらFRBも気づいたんじゃないかな、大事であるということに。

今日のウォールストリートジャーナルによると、アメリカの住宅全体の半分はファニーかフレディによってローンを出されているそうです。


思えば、3月の下旬、スプリングブレイクの休暇を利用してウィスラーにスキーに行っている時、ベアスターンの破たんがありました。
そして今回は、ファニー&フレディです。

今後、米国政府の出方次第では、世界中に大きな混乱を招きかねないファニーとフレディの今後、とても気になります。
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by rumicommon | 2008-07-18 21:54 | NY1%未満の時事

それでもわたしは、ニューヨーク・フィルの北朝鮮公演を支持する

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photo source/NY Times


日本でもこのニュースは伝えられ、

きっと物議を醸し出しているはずで、多くの方がご存じだと思うが、

創立1842年、世界でも著名なニューヨーク・フィルハーモニックが、

280人の団員を連れて、アメリカとは国交のない北朝鮮入りし、

2月26日午後、東平壌大劇場で公演された。



アメリカではPBSが26日に放映した。



保守派の新聞などからは、「信じられない」「いかがなものか」的に批判されているこのコンサート、実現にこぎつけられた蔭には、個人のパトロンの尽力があった。


しかも、そのパトロンは、アメリカ人でも北朝鮮に造詣の深い韓国人でもなく、

ベニスに暮らすイタリア貴族のチェスキーナ伯爵夫人だったことは特筆に価すると思う。


そして! 思わず鳥肌が立ってしまったのは、

そのチェスキーナ伯爵夫人はなんと、

旧姓永江洋子とおっしゃる日本人女性だったことだ。


ウォールストリート・ジャーナルによると、伯爵夫人は、世界の著名なクラシックの音楽家たちの間では有名なパトロンで、イスラエルフィルのプレジデントであるズービン・メータ(現ニューヨーク・フィルのプレジデント、ザーリン・メータとは兄弟)を友人に持ち、ニューヨーク・フィルの他にも、キロフ・オーケストラをサポートしており、ベニス、ニューヨーク、テルアビブ、セントペテルスブルグ、東京を行ったり来たりする音楽三昧の生活をおくってらっしゃるとか。



このチェスキーナ夫人の人生は、まさにシンデレラ物語そのもの。



その詳細はこちらに譲るとして、

ここでは、

世間の批判覚悟でこのコンサートを実現させることにしたニューヨークフィルの勇断を讃え、また、静かにニューヨークフィルをサポートすると決めたチェスキーナ洋子さんに、ブラボ!!!  といいたい。



まさに人種のるつぼ、ニューヨークが誇るフィルハーモニックにふさわしい、

人種、政治的信条を超え、音楽による外交を信じるポジティブな考え方、


「政治的なしがらみやイメージがつきまとい、このようなサポートはしたくてもできない企業になりかわり、わたしなら、政治からも一切無縁、批判も受け止める覚悟で引き受けた」とおっしゃる洋子さんの胆力はすばらしいと思う。


オバマは「話し合いは、友好国とだけするのではなく、敵国ともしていきたい」という。

しかし、このコメントは、今日も保守派の新聞 New York Sunで、

dangerously naive(危険なほど世間知らず)と批判されていた。


ウォールストリート・ジャーナルによると、

ニューヨーク・フィルハーモニックのディレクター、ローリン・マイゼルは、

ソビエト時代のロシアで公演をしたとき、会場で多くのロシア人たちに、小声で

「わざわざわたしたちの国に、演奏をしに来てくれてありがとう」と感謝されたことが忘れられないという。



ニューヨークフィルハーモニックは、1959年、当時まだ、鉄のカーテンががっちりと下りていた時、ソビエトで公演している。

20世紀に共産主義という怪物思想をサポートした革命家レーニンの「弁慶の泣き所」は、ベートーベンの情熱のソナタだった。

「このソナタをずっと聞いていると革命を遂行することが難しく感じる」といったらしい。

そんな一筋の希望をつなげて、

もし、わたしがアーチストだったら

北朝鮮に演奏に行くだろう。


もし躊躇する自分がいれば、行くべきだとせき立てることだろう。



それは何も、美しい音楽は、日本人を拉致し、今だに安否さえ分からない状態に棚上げにしているにっくき相手にも平等に聞かせるべきだというきれいごとをやみくもに信じているからではない。



ニューヨーク・フィルのディレクターがウォールストリート・ジャーナルに書いたように、


最終的には、現在の独裁制の下に存在する北朝鮮に、内部から革命をおこさせるために、このミッションを利用できるのではないかと、わらをもすがる気持ちで思うからだ。

長い目でみればその勝算は十分にあると思うからだ。



つまり、今なら、このコンサートをきっかけに、北朝鮮内部にすでに出来つつあるひずみを、内部からこじあけて崩壊させるきっかけになるのではないかと過去の経験から考え、行くと決めたニューヨーク・フィルの幹部たちの気持ちが理解できるからだ。


忘れてはならないのは、たとえば日本人を数人拉致していることを知る国民は北朝鮮に一体何人いるかということだ。

多分リーダーと一部の側近だけが知っている極秘裡に行われたことのはずだ。

つまりいうなれば多くの国民には罪はなく、飢饉に見舞われ、普段は電気もままならない生活を強いられている彼らもまた被害者なのではないか。


1959年、レナード・バーンスタイン率いるニューヨーク・フィルはソビエトに公演に行った。

当時、ソビエトに拉致されていたのは、数人というレベルではなかった。

東ヨーロッパ諸国は国ごとソビエトに抑圧され、拉致されていたとは言えまいか。


また当時のアメリカとソビエトは、タッチの差で、お互いに核兵器のボタンを押す一歩手前までいったこともあるほど切羽詰った疑心暗鬼の「冷たい戦争中」だった。


その緊迫した状況下で、それでも、ニューヨーク・フィルは公演に行った。

団員の中には東ヨーロッパ出身の方もいたかもしれない。

そして・・・・・

それからソビエト内で、アーチストを中心に何かが変わったとはいえないだろうか。


ミハエル・バリシニコフのように西側に亡命するアーチストや何人かのスポーツ選手が出てきた。


そして、


最終的に、内部から民主化のひずみが進み、クレムリンは崩壊した。




映画、「善き人のためのソナタ スタンダード・エディションは、国民全員が政府の厳しい管理課に置かれ、盗聴されていることを知りつつ、命がけで西側に情報をリークさせた東ドイツのライターたちの話。


このような内部からの胆力ある努力がチリも積もり、山となり、ベルリンの壁は崩壊したのではないか。


ニューヨーク・フィルのディレクター、マーゼルはまさに、本来リベラルで自由な表現を求めるアーチストたちの内部から覆す力に賭けているのだ。


武器の代わりに、ペンや、楽器や、筆を使って、


打ち負かすのではなく、無血で、静かに感動を与えるという手段を通じて。

あの北風と太陽の童話のごとく、

どんなに強い風を送っても旅人のコートは脱がせられなかったけれど、

太陽が暖かく照らすことで旅人は喜んでコートを脱いだように・・・・


正式な政府間での外交が役に立たないなら、

政府中枢部にいる側近でさえ亡命をするほど、腐敗し、疾病し、力を失くしつつある北朝鮮を、内部から覆す時期が塾している今、音楽のマジカルなパワーでダメ押ししてみよう、ということなのだ。


そうドミノ倒しの最初のひと押しをねらって。

アメリカのメディアが伝えるところによると、厳しい統制下にあっても、北朝鮮との国境を越えて、中国や韓国からこっそり西側のDVDやビデオを北朝鮮に持ち込む人間が後を絶たないそうだ。



つまり政府から洗脳されて信じていたプロパガンダとははるかに違う西側諸国の「甘い誘惑」を、国民が知る機会が増えているのだ。


見えない敵を憎むことはなんと簡単な、けれど虚しい、エネルギーのムダ遣いなのだろう。


ユダヤ系アメリカ人の男性で、叔母さんがかつてナチの強制収容所で亡くなったことを理由に、ドイツと名のつくもののすべてを憎み、ドイツ車に乗ることも否定している人を知っている。


今では親しい韓国人の知人は、韓国にいたころ、「日本がわれわれにした仕打ちを絶対忘れてはならない」と家でも学校でも言われ続けて育ったと話してくれた。




けれど、敵がこれまで考えていたのとは大幅に違うことを知ってしまうと、憎しみのパワーも弱るものなのではないだろうか。



わたしの尊敬する音楽家、ダニエル・バレンボーム(Daniel Barenboim)は、


ブエノス・アイレス出身のロシア系ユダヤ人だ。



彼は、今も自爆テロが絶えず、イスラエル人とパレスティナ人の間で殺戮が繰り返されているまさにど真ん中にあるパレスティナ領のイスラエル、ウエストバンクで公演をした。



もちろんそのコンサートは大成功で多くの敵たちの温かい拍手に包まれた。


彼は音楽、芸術を通じて世界平和を願い、もっとも積極的な活動をしている音楽家の一人だ。



拉致被害者のご家族としては、北朝鮮のリーダーは、極刑をもってしてもまだ足りない気分だろう。

それが人間というものだと痛ましい気持ちをもって思う。


けれど、憎い敵だから、と戦い以外の接触を避けていたら、何も解決にならないばかりか、核を所有する北朝鮮、最期のあがきで何を仕出かすかわかったものではない。


イラク戦争を例に挙げるまでなく、戦争という形の圧力のかけ方では解決できないのなら、別の形に賭けてみよう。


ムチがだめならアメ。


戦争がだめなら、音楽で。



外交とはそういうものではないだろうか。



ニューヨーク・フィルが北朝鮮公演のオーファーを受けた背景には、このような熟考のもと、アーチストたちのパワーに賭けてみようといういちかバチかの思いがあったとわたしは考える。


それをチェスキーナ洋子さんもよくご理解なさって、協力することになさったと、わたしはウォールストリート・ジャーナルの記事からそう行間を読み、信じている。
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by rumicommon | 2008-02-27 01:21 | NY1%未満の時事

「民族の矜持」という落とし穴

沖縄で米兵が中学3年生の女の子に乱暴をするという、事件が起こった。

もうすぐその年頃にさしかかる年齢の女子をもつ母として、

このニュースは、胸を締め付けられる思いで耳にした。

レイプにまでは至らなかったのが、不幸中の幸いといえばいえるのではないだろうか。

このようなことは断固許されるべきことではないし、国として怒るべきだとは思うが、

この事件を「またか」と思うわたしは間違っているだろうか。


男が男を襲うということはあるかもしれないが、

女が男を襲うという事件はまず聞いたことがない。

古今東西、犠牲になるのはいつも女。




近い過去に目を向ければ、

まだユーゴスラビアという国が存在していたころ、その極端な民族主義の尊厳と矜持に、虚しさや怒りさえ覚えたことを忘れてはならない。

セルビア兵は、民族浄化運動の一環として、クロアチア人の女性へのレイプを命じられ、実行した。

国家から異民族を絶滅させるためにクロアチア人女性たちを逮捕し、レイプし、セルビア人の血の流れる子供を産ませようというのだ。

古今東西、戦争は人間の正常な思考を停止させ、尊厳を踏みにじり、

男たちの破壊的な「性」がより顕著に露悪し、このような蛮行がまかり通ってきた。


今回の沖縄の事件は、同じ女子をもつ母親としては許せないことではある。

けれど、この事件の場合は、

わたしたちが、家族で、コミュニティでもっと防犯というストッパーを機能することで、未然に防ぐことは十分に可能だったのではないかとも思う。

わたしは、10代のころ、母親に、

「知らない人の車には絶対に乗ってはいけない」と口が酸っぱくなるほどくどくどと教えられた。

それはもうDNAレベルに刻まれるほど強烈なメッセージだった。

もし、この中3の女の子に、車に乗らない、という意志の選択の余地があったのなら、

彼女の母親が同じようなメッセージを流していたら、

コミュニティでも同じような指導があったなら、

このような事件は起こっていなかったかもしれない。


男が男であり、女が女である以上、このような事件は、人種、民族関係なく、きっと未来永劫なくならないと思う。

それでもこの地球上で男と女が共存していかなくてはならないのなら、

この事件を、短絡的に、日米間の安全保障問題に直結させる前に、

ある程度予防できる病気と同様、

まずは、家族で、そしてコミュニティで、予防対策を万全にして備えることのほうが急務だと思う。

そして、基地問題、安全保障の問題は、別のところできっちりと考えていくべきだと思う。
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by rumicommon | 2008-02-18 01:52 | NY1%未満の時事


20年+住んで見えてきたNYの常識=日本の非常識やニューヨーカーから見た日本人のすばらしさや不思議なことなどをご紹介します。


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