今回は、初めてパリの小さな美術館に行ってみました。

19世紀半ばにイスタンブールからパリに移り住んだユダヤ人銀行家が1935年まで住んでいた豪邸です。

１９世紀末の個人邸宅の名残をそのままに残す邸宅は室内装飾もまるで生前そのままに遺されています。

モイズ・ドカモンド伯爵はこよなく芸術を愛する人でした。

この邸宅はある意味、伯爵の’作品’でした。

薄いブルーの扉の奥はカフェになっています。

見事な螺旋階段。

場所は、伯爵がこよなく愛したモンソー公園に面したところです。

モンソー通り６３番地。

この１７区は、ロスチャイルド家といった、名だたるユダヤ人銀行家達が暮らしていました。

建築家は、ルネ・セルジャン。

ベルサイユ宮殿のプリトリアノン宮を模したこの館で、伯爵は、一人息子ニッシムと一人娘ベアトリスという二人の子供に恵まれました。

ところが、一人息子ニッシムは、第一次世界大戦でフランスのために戦うため戦場へ。

ニッシムはそこで戦死してしまいます。

伯爵は、失意のまま本人も1935年に亡くなり屋敷は市に寄贈されます。

悲劇はまだ続きます。

その後すでに嫁いでいた娘と二人の子供は、ユダヤ人であるという理由で、ドイツのアウシュビッツに送られ、翌年には全員死亡します。

現在も、この美術館は多くのユダヤ人富豪たちのサポートも得て運営されています。

それには、こんな痛ましい理由もあるのですね。

もう二度と同じ悲劇は繰り返さない。

そうありたいと強く願いました。

<Information>

ニッシム・ド・カモンド美術館

63 rue de Monceau, 75008 Paris, France

詳細にわたる情報はこちらのサイトが素晴らしいです。

http://www.mmm-ginza.org/museum/serialize/mont-back/0908/montalembert03.html

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