33年前、初めてニューヨークで

一人暮らしを始めるにあたり

インテリアに関してわたし自身は

１ミクロンも考えなかったことがあります。

しかし、まもなく付き合うようになった

アメリカ人の男の子は（当時20代）

狭いワンルームに住んでいたのに

すでに着々と始めていました。

初めてアパートに遊びに行った時

とても驚いたのを覚えています。

その彼はコンテンポラリーアートの

コレクターだったのです。

もちろんすごく有名な人の

高額な作品は買えません。

けれど、壁という壁には

かなり号数の大きな

相当に個性的な絵が飾られていました。

そして、徐々に着々と

ボーナスが入るたびに

コレクションを広げていきました。

彼はのちにビジネスで大成功しましたが、

それ以上に有名になったのは

彼の蒐集したアートたちです。

今は、アート好きが高じて

MOMAのボードメンバーとしても

活躍しています。

アートといえば。

娘が2歳になる直前、南仏を家族で旅行しました。

その際、マティス美術館に行きました。

ギフトストアで、幼児が見ながら

時々角をかじるのにちょうどいい

大人の手のひらに入る小さな

マティスの絵画を紹介した

本を購入しました。

それがなんだかわからないまま

娘はその小さな絵本が大好きで

ずっとずっとかなり大きくなるまで

大切にしていました。

角はかじってボロボロです。

もしかしたらマティスは

自分より少し大きな子供だと

思っていたのもしれません。

それから4歳の時、美術館で

大きなシャガールの絵を見た時

「マミ、どうして子供が描いた絵が

美術館に飾ってあるの？」

と聞いたことが忘れられません。

わたしのアートとの本格的なおつきあいは、こんな感じにニューヨークに来てからです。

で、正直にいって今だに、家に飾りたいと思う作品には出会えていません。

一方、娘は、4歳ぐらいの頃から、メトロポリタン美術館が閉館の日は、そこでボランティアをしていたベビーシッターさんに連れられて、特別に入館できた時期がありました。

閉館されている美術館内をベビーカーで縦横無尽にまわる。

当時美大に通っていた知的なシッターさんと

どんな会話を交わしたのかとても興味があります。

そのころはアフリカンアートのセクションが一番好きだったみたいです。

今も我が家では、メトロポリタン美術館の見取り図をだれより一番よく知っているのは娘です。

そんなふうに絵とのふれあいが身近にあったからでしょうか。

娘は昔からコンテンポラリーアートが大好きで、かなり造詣もあります。

今回初めて一人暮らしをすることになり

娘が一番力を入れて集めたのは

自分の部屋に飾る絵でした。

もちろん高いお金は出せません。

だから全て、まだ海のものとも山のものともわからない

新進のアーチストの作品です。

昨年はコロナ禍で、

まだ自由にギャラリーを訪れたりできなかったため、

大好きなイギリスの画廊のオンラインで

新進の画家たちの作品を選んでいました。

暖炉の上には絵ではなく写真。

ヘルムト・ニュートンはわたしも写真集を持ってるけれどまさか娘の部屋でこんな写真を見るとまだ慣れなくてどきっとします。もう24歳なんですけれどね。

ソファの色合いを考えて選んだ絵。題して「婚約したのはいいけれどああ、これからどうしよう」だと娘が勝手につけました。


娘の友だちとわたしが一番好きなのがこれ。チェコのアーチストの作品だそう。
なるほど。このセレクションは邪魔にならないし主張がありすぎるわけでなし。

これをどこにかけるか。それは思案中。
これも個人的に好きな絵です。よく見つけてくるなと思います。
お行儀の悪いわたしが写り込んでいてすみません。

左の絵は同じアーチストによる４枚の小さな作品を一つの額に入れたもの。

お部屋はニュートラルな色とグリーンだけ。

アートが生きる、大人の一人暮らしにふさわしい

落ち着いた室内装飾になったように思います。

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