娘が6歳の時。

ママ友のゴージャスなパークアベニューのお屋敷に集まる機会がありました。

娘のお友だちのお父様で、そのママ友のご主人は、ある事業で財を成した当時60代。

彼女は30代後半だったと記憶しています。

年齢の離れたカップルですがとても仲良しで、お子さんは４人。

女の子が３人と最後に男の子に恵まれました。

鮮明に記憶に残っているのは、子供全員の肖像画がリビングルームや広いギャラリーなどに飾られていたことです。

古風で伝統的なタッチですが、肌がまるでルーベンスの絵のようになめらか。

そして何よりそれぞれ本人にとてもよく似ていました。

額の中で微笑む子供たちの顔は今にも飛び出して来そうな生き生きしたものが感じられます。

写真ならたくさん撮れるけれど。。。

こんな形で子供時代のある時期を才能ある画家の手で額の中に封印すれば、写真のようにセピア色に褪せることもなく、娘の子供たち、さらには孫の時代までこの絵は残ることになる。

ちょっと成金っぽい感じもしたけれど。

そのポートレートの笑顔があまりにも愛らしく、

心を奪われてしまったのです。

その数年前、ロンドンに住む大学時代の親友が住所変更の絵葉書をくれました。

その絵があまりに愛らしくて、わたしはずっとその絵葉書を大切に、他の家族写真と一緒に飾っていました。

そうだ、あの絵葉書のように、当時ちょうどうちに来たばかりの愛ネコスクーターと一緒に描いてもらおう。

あとで調べたら、この絵は1881年に描かれたもので、この愛らしい少女はのちにダンサーになり、ピカソの長年の愛人の一人となった人だということがわかりました。

早速ママ友に彼女の子供たちの肖像画を描いた画家を紹介してもらいました。

そして出来上がったのがこの絵です。

インスパイアされた少女は鳩を抱いていますが、

娘は今は亡きスクーターを抱いてます。

清水の舞台から飛び降りるほどの出費となりましたが、

スクーターも一昨年虹の橋を渡り

6歳の娘もいなくなった今となっては

わたしたち夫婦の大切な宝物となりました。

リビングルームに飾るにはあまりに

プライベートなものなので

我が家ではわたしたちのベッドルームに飾って、

毎晩眠る前に一瞥し

挨拶をして休むのが習慣になりました。

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