10年以上前、軽井沢に行く新幹線の中でご縁をいただいたマダムK以来、家族ぐるみで親しくさせていただいています。
ニューヨークまで、ご夫婦そして息子さんとお越しくださったり、夫、娘ともども軽井沢にご招待くださったり、東京のご自宅で心尽くしのお料理でおもてなしくださったり
毎年、自家農園で作られたジャムをお送りくださったり
ゆるゆると、でも確実にご縁を紡いできました。
が、ここ５、６年はお会いすることもままならず年に一度、母の日に胡蝶蘭を送りクリスマスにはささやかなプレゼントをお贈りする。それがわたしからの習慣となりました。

それ以外は、たまにお手紙を書いたりマダムからも額縁に飾りたいような達筆のお手紙をいただいたり。


そして今年、実に6年以上ぶりに日本でお会いすることが可能になりました。


マダムは2年前に大きな手術をされており以来、しばらくご連絡が途絶えたことがありました。
とても、とても心配をしていました。
今回以前にもましてお元気そうなマダムに会えてどれほど嬉しかったことでしょう。
これで、ニューヨークから飛んできた甲斐があったと思いました。


さて、お食事が終わったら。
「あなたに渡したいものがあるの」と、マダム。
息子さんとその可愛らしいお嫁さんがニコニコされている中小さな包みを開けてみました。
いつもの見事なお手紙が添えられていました。わたしを最近は「娘」と思ってくださっているのです。

封筒から小さな宝石箱が出てきました。開けてみると、お手紙に書いてあった見事なオパールの指輪が。。。


角度を変えてみるたびに色が変わる摩訶不思議な石オパール。

40年前マダムがご主人様からプレゼントされ以来、毎日のように嵌めていらした指輪だそうです。

そんな大切なものを娘のように思ってくださっているとはいえ赤の他人のわたしにくださるなんて。

けれど、お嫁さんも息子さんもそれは承知されているようです。

「大丈夫、彼女（お嫁さん）にはまた別に彼女にぴったりなものがあるの」と。

お嫁さんも「いつもおかあさんからは過分にいただいています」と。

サイズもぴったりでした。



5年前に母が亡くなって以来いよいよ恒例の母の日のお花を贈る相手がマダムだけとなってしまいました。


コロナ禍もお花は送り続けました。そしてお手紙もマダムを思うたびに言葉にして投函していました。


それにしてもこのプレゼントは過ぎたものだと感じました。

けれど、ご本人を目の前にお手紙を拝見しながらハラハラと涙が溢れてきました。

いつもならこういう場面でどうお返しをしようかと悩むクセがあるのですが今回はただ、深く考えずありがたく頂戴しよう。


何度もお礼を繰り返し「大切にします」と心を込めてお伝えしました。

来年は、夫も一緒にまたお会いしましょう。そう約束してお別れしました。





追記
マダムは兼高かおるさんと長年の親友でいらっしゃり現在は兼高かおる財団の名誉顧問を務めてらっしゃいます。そして遺品の整理も時間をかけてされています。

この日お邪魔した竹葉亭の大女将別府淳子さんには、兼高さん所有の白地に寿の大きな赤字部分が絞りになったおめでたい風呂敷をプレゼントされていました。

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