コロナ禍を経て、ファッション業界はすっかり分断されてしまいました。

ハイエンドブランドとファストファッションなどのローエンドブランドの二極化が進み、中間層のブランドがどんどん姿を消しています。

中間の価格帯ブランドの中から、高額ハイブランドにも引けを取らないブランドを探し出すのが、職業柄、何よりの楽しみでした。

それをお値打ちにRish NYで販売し、喜んでいただけると、もう本当に服屋冥利に尽きました。

けれど最近は、お直ししても大切に着続けたいと思うお洋服がどんどん少なくなっています。

それって電化製品や車も同じかも。

先日、電気自動車をお迎えした友人が、小さな故障があったため、ディーラーに持って行ったら、廃車判定を受けたそうな。

電気系の車って部分部分で修理をするというのが難しいんですかね。

そこだけ取り替えるわけには行かないのかな。

お修理の専門家もいないみたいで。

そう考えるとうちの20年選手のアウディ、やっぱり捨てられません。

アウディ専門の親身になってお直ししてくれるところがブルックリンにあるのです。

ごめんなさい。

お話が逸れてしまいました。

ファストファッションも悪くはないけれど。。。

素材フェチのわたしとしては、その素材感には惚れることができず。

がんばって２シーズン着るともう良いかなぁって気がしてしまう。

結局、クローゼットに残るのは選びに選んだ中間層以上の服子たち。

さて、清水の舞台から飛び降りるつもりで買った服の中には、時代を超えて尚、根強いファンが多く、お値段は上がるばかりというブランドがあります。

アズディンアライアはその一つ。

わたしも80年代ファッション編集者だった頃（20代）数枚求めました。

スカート、ワンピースなど。

それらはもう処分してしまったけれど、どうしても手放せないのがこちらです。

長年地下の物置ケージの中に大切に保管していました。

9０年代前半まではとことん着ました。

そしてこのコートほどよく褒められた服もないかも。

取材に行った時マークジェイコブスにも褒められました。

彼はアライアファンだそうですね。

かつては、黒の皮革のペンシルスカート＋モードフリゾンなどのヒールの靴で合わせていました。

今ならこんな感じでしょうか。

ところが、このジャケット、表側はきれいな状態なのですが、内側がボロボロ。

今年のプロジェクトは、このライニングをお直ししてくれるところを探すというものでした。

でも、近所のテーラーには断られ。。。

ライニングだけ仕立ててくれるところって今時ないんですね。

やはり「捨てる時代」にお修理という考えは合わないのでしょう。

お洋服を修理して着る時代はとっくに終わり、捨てるが現代の風潮なのでしょう。

何人かのファッション関係者に聞いてみても、

「良いところがあったんだけど、コロナが開けてみたら無くなってたわ」

とか、

「もうやってないみたい」

と残念なお返事ばかり。

ならば、自分で似た生地をガーメントセンターで買ってきて、破れたところだけパッチワークみたいにつぎはぎしてみようかと思ってたそのタイミングで、諦めずにググっていたら、ここなら行けるかも！と感じるお店を見つけました。

そこはアポイントメントオンリーです。

すぐにオンラインでアポをとり、まずは袖が多少長いんだけどどうしようか悩んでいたディオールのバージャケットを持って行ってみることにしました。

袖が２cm長いのですが、ニット素材なので肩で詰めるしかありません。

近所のテーラーではこれも脇グリがキツくなると言われました。

絶対そんなはずないんです。

常時お直しの方が3人はいて、ハイブランドのカクテルドレスなどが何枚も並んでいます。

担当のピン打ちをしてくれたマダムも感じが良いので、ついでにライニングだけ作り直してもらえるか聞いたら、いとも簡単にできるわよ、の返事。

メンズのテーラードスーツやコートも作れ、ウエディングドレスのお直しも得意とする本気のテーラーだから安心感が違います。

控室

シャネルやディオールなどハイブランドのランウエイの動画をずっと流しています。

お値段も納得できる料金でした。
仕上がりは1６日と言われました。なんだかワクワクします。
もし素晴らしい出来栄えであれば、こちらで情報を公開いたしますね！